マンションやアパートの共同住宅から、それ以外の用途に用途変更しようとすると注意しなければならないことがあります。
一つは用途変更すると容積率オーバーになってしまい用途変更がでできないケースです。
これはどういうことかというと、容積率に参入される床面積と算入されない床面積があるということです。古くは駐車場が建物の割合に応じ算入されませんでした。2012年には防災備蓄倉庫・非常用電源・貯水槽設置部分が緩和され、2014年にはエレベータの昇降路が、2018年には宅配ボックスの設置部分部が容積に参入されない床面積となりました。
そして共同住宅に関しては、1997年には共用の廊下や階段が容積不算入になりました。
したがって、共同住宅からの用途変更においては、容積不算入になっている廊下や階段、エントランスホールが容積率の対象に代わり、その結果容積率オーバになってしまうケースがあります。2018年以降の共同住宅で容積率一杯の場合は注意が必要です。
2つ目はメゾネットタイプです。共同住宅の特例として3層以下のメゾネットであれば住戸内の階段のみが認められます。玄関までは住戸内の階段を使い、玄関を出てから直通階段で避難できればよいこととになります。直通階段とは途中に扉等なく地上階まで迷うことなく到達できる階段です。
一方、旅館やホテルなど宿泊施設に変えると、各階から直接当該の直通階段にアクセスできなければなりません。そして、住宅で認められていた吹抜は、竪穴区画として防火区画しなければならなくなります。階段幅に余裕がなければ防火区画の壁を設けることすらできません。
3つ目は3階建て準耐火の建物です。共同住宅の他に、長屋や戸建住宅も含まれます。
2018年までは宿泊施設が3階に以上にあると耐火建築物にしければなりませんでした。現在では3階に宿泊施設があっても準耐火建築物でも可になりました。ただし条件がありその用途の面積が200㎡以下というものです。消防設備の性能も上がり3階200㎡以下なら大きな災害にはならないであろうとの見解からだそうです。
以上 共同住宅からの用途変更で注意する事をまとめると
①2018年以降の容積率いっぱいは容積率オーバーにならないか?
②メゾネットには全階に直通階段があるか?
③3階準耐火建築物は200㎡を越えないか?
となります。
近頃は消防や保健所もチェックが厳しくなっているようです。
保健所職員が「建築のことはわからないので」言われ建築指導課に同行させられたり、用途変更工事後の保健所検査に建築指導課が同行されたり、用途変更の確認申請の行政照会で追加の面積表を提出させられたり、イレギュラーな現象が続いています。