社会的問題にもなっている女性専用のシェアハウスを簡易宿所に用途変更できないか。と、ご相談を頂いた。結論は条件付きで用途変更は可能です。
ただし注意すべき点があります。シェアハウスは寄宿舎として、敷地形状や避難など建築基準法や東京都安全条例においていくつかの緩和を受けています。その点を除外しても簡易宿所や旅館が成り立つかです。
現地は都内で交通の利便性に優れ、駅から徒歩数分という好立地な場所にある。
シェアハウスは住人のプライベイトな個室と、キッチン・リビング・浴室・トイレ・玄関・廊下など住人たちで共用する部分で構成される。
元来シェアハウスは1戸の住宅を家族以外の複数の入居者で使用するものだった。単身者どうしが個室を持ち住まいの一部をシェアすることで、ワンルームよりも空間の合理性と効率化を図かるスタイルに進化した。その姿は洗練されて住宅から離れた姿に変化していった。
現地を訪れてみれば、木造2階建て、各階には4.5畳の個室が7室、2.4mのキッチンが1台、シャンプードレッサーが2台、トイレが1~2台、シャワー室が2~1台で構成されている。ドラマに出てくる共用されるリビングや食事を共にできるダイニングの類はない。白を基調にシンプルで清潔感がある。構成はかつて自分も過ごした学生時代の下宿と変わりはない。
独自の発展を遂げるシェアハウスは、平成26年に国土交通省によって「寄宿舎」に位置付けられた。寄宿舎となれば、共同住宅同様建築基準法では特殊建築物として、避難や防火・耐火・遮音の高い基準が定められる。
東京都独自の条例によって更に高い基準が定められている。しかし寄宿舎に対しては既存ストックの利活用促進の観点から緩和されることになった。 特に窓先空地と遮音壁をはじめ戸建て住宅形式の寄宿舎では路地状(旗状)敷地の制限も緩和されている。
シェアハウスを簡易宿所に用途変更すると、主にこれら3点に注意する。敷地に対しては、用途地域と特別用途地区、路地状敷地、道路接続長の確認をする。
敷地と建物の関係から、各宿泊室から道路までの避難経路の確保(窓先空地)ができているか確認する。ただし、ホテル・旅館では窓先空地は必要とされていない。
建物内では宿泊室毎に遮音壁が必要となる。旅館業の基準に従いトイレ・洗面の追加や浴槽が求められる。
シェアハウスからホステルへの用途変更のご相談先は
建築コンシェルジュ合同会社 03-6709-9490