建築基準法でいうホテル・旅館が地階もしく3階以上、あるいは床面積が300㎡を越えると、3年毎に建築物の調査を行い、特定行政庁の審査を受けなければならない。施設が3階以上で床面積が2000㎡を越えると毎年の調査となる。
ホテル・旅館において定期検査は、宿泊客のチェックアウトからチェックインの間で行わなくてはならない。もし、連泊客がいれば、事前にフロントからその部屋番号を聞いて、そこの調査は日を改めて行う。もしくは、ルーム清掃のタイミングで調査させてもらうことになる。従って、限られる時間の中で複数日の調査が前提となる。
定期検査が目的とするところは、完了検査後も建物が法律・条例に沿って使われているか、経年劣化や法令を知らないで運営をしていると、いつの間に安全性は脅かされ、危険な建物になったり、災害時の被害を拡大させてしまうことになる。それと、定期的に建物をチェックすることで劣化の進行を遅らせ、中長期的に見たトータルの維持管理費を抑えることにもつながる。
ホテルオーナは日頃建築基準法とは縁のない一般の方が多く、その存在を知らずに経営目線で建物を大きく変えてしまうことがある。
例えば防火区画。これを確認申請時から半分以上変えてしまうと、新たに確認申請が必要になる。ホテルなら客室の間仕切りを変えなければ、過半に至ることはまずない。気をつけるべきはレストランまわりのリニューアルによるケースである。レストランがホテル利用客以外も利用する場合、つまりホテルと別に出入り口をもつと、ホテルとレストランの間で防火区画が指導される。
それと、自然排煙の場合は、間仕切りの変更によって排煙面積が不足したり、排煙起動装置が有効に働かなかったり、隠されしまうことがある。
ホテルに限らず、駐車場を他の用途に転用する場合は、確認申請図面で駐車場が容積対象か否か確認して、容積対象になっていれば、転用することも可能になる。しかし、容積緩和を受けて容積率にカウントされていない場合は、転用すると容積率オーバになってしまうので特に注意が必要になる。