かつてのラブホテルがインバウンド向けのホテルや簡易宿所に様変わりしている話は聞いていて、それは都心での話だと思っていた。しかし今回は郊外だった。
建築基準法の分類では、ラブホテルもビジネスホテルも同じ「ホテル・旅館等」に区分される。従ってラブホテルからビジネスホテルへの変更は、建築基準法の用途変更にはあたらない。ただし、旅館業法では、ホテル・旅館・簡易宿所の構造が定義され明確化されている。ラブホテルと言っても旅館業法では旅館であることもある。
そして、事業者が変われば旅館業法の営業許可申請を改めて取得する必要がある。前に営業許可があったから、また新たに営業許可が容易に得られるものでもない。それは、以前は保健所のみの判断で営業許可は下付されていた。しかし、宿泊施設の火災事故をきっかけに保健所は消防署と建築課に照会することになった。もし、消防や建築がNGと判断すれば営業許可は降りない。
今回は改修工事は昨年8月に終えて、保健所に営業許可申請をしたところ、消防検査で指摘を受けることになった。事業主は建築基準法や消防法の存在を知らない中華系の方で、ビジネス優先で改修工事してしまった。本来であれば資格を持つ建築士が事前に計画図書を作成して、役所協議を終えて、設計図書に従い工事を進めてから、工事完了時に役所検査を受けなければならない。この建物は以前に完了検査を受けていたので、建築は基本的には既存不適格を含め適法であった。それが幸いして消防からの指摘事項は比較的軽微なものであった。
指摘事項を記した改修計画報告書を受け取り、各項目の現地の状況を確認して、終了したものは写真や製品承認図を添付し、未了のものは終了予定日を記して受理させる運びとなった。
類似の建物のため用途変更が生じなくても、防火区画(扉や壁)を変更したり、防火性能の異なる仕上げ材料に変えたりすると、確認申請が必要になる。時に屋内駐車場の床面積は緩和されていて容積率に参入されていないことが多い。その駐車場を廃止して何か部屋や通路に利用すると増築にな。10㎡以上だと確認申請が必要になる。ご注意あれ。